ホスティング会社別に見たJPドメインのセキュリティ露出 2026|.jpと日本語gTLDサイト約109万件の置き場所と対策状況

セキュリティ 公開 2026-10-30 / 最終確認 2026-10-30 / 執筆・監修 中澤祐樹
  • 委任されている .jp ドメインの台帳(2026-10-29 時点 1,197,208 件)と、gTLD(.com / .net / .org)の日本語サイト 131,622 件に同じ非侵襲の観測を行い、ウェブが応答した 1,090,213 件を、応答に使われた IP アドレスのホスティング会社別に集計した。記事 H(途中報告)と同じ観測データの別集計である。
  • ホスティング会社は、IP アドレスを公開の経路表(CAIDA RouteViews)で引いた AS 番号を事業者名にまとめて定義した。CDN(Cloudflare・AWS CloudFront など)が前段にあるサイトは 12.3%(.jp 11.0%、gTLD 日本語サイト 45.8%)で、オリジンを推定せずに分母から外した。
  • CDN 前段を除く 952,161 件のうち、Xserver 21.7%、さくらインターネット 20.7%、GMOインターネット 18.9% の 3 社で 61.3% を占める。到達 1,000 件以上の 38 社を実名で示す。
  • HTTPS 強制は大半の事業者で 9 割を超えるが、HSTS(全体 10.6%)・CSP(6.0%)・TLS 1.3(73.8%)は事業者によって数 % から 9 割台まで分かれる。最大手の Xserver は HSTS 2.3% に対し、版の非表示 99.1%・TLS 1.3 97.9% で、サーバー側の構成で決まる項目と利用者が付けることの多い項目の差が大きい。
  • PHP の版を名乗るサイトは全体の 11.1%(105,237 件)で、うちサポート終了版は 53.5%。開示の件数は事業者ごとに大きく違い、GMOインターネットに載るサイトが 64,164 件(開示全体の 61.0%)を占める。サポート終了版の比率は、PHP 版の開示が 100 件以上ある事業者の間で 5.4%〜99.2% に分かれた。
  • 公開 CVE の範囲内の版を名乗るサイト(上限値)は全体の 8.7%。IP アドレスの登録国は全体の 85.4% が日本で、AWS・Google など海外事業者の IP は、国内のデータセンターで使うものでも本社の国で登録されていることが多い。
  • 数値はその事業者に載っているサイトの状態で、事業者の評価ではない。PHP の版やヘッダーは、共用サーバーでも利用者が選ぶ・足すことが多い。

この記事の位置づけ

記事 H(JP ドメインにおける PHP 等の脆弱性露出の総体・途中報告)では、ドメインの DNS を預けている NS 事業者別に対策率を示した。NS 事業者は DNS の預け先で、ウェブを置いている場所とは限らない。本稿は同じ観測データを、ウェブが実際に応答した IP アドレスの持ち主(ホスティング会社)別に集計し直した別記事である。

NS 事業者別の記事 H では、版表示と CVE はサイト側の設定で変わることから事業者別の CVE 露出を出さなかった。本稿はホスティング会社を明確に定義したうえで、PHP のサポート終了率と CVE 露出(上限値)も事業者別に示す。値は「その事業者の IP で応答したサイトの状態」であり、事業者の対策の評価ではない(§10)。

ホスティング会社の定義と調べ方

観測そのものは記事 H と同じで、各ドメインに DNS 照会・TLS 接続 1 回・HTTP GET 1 回を行い、応答ヘッダーと証明書を記録した。観測時にワーカーが名前解決した IPv4 アドレスも記録している(記録率は DNS が引けた名前の 99.6%)。

  • 名前の単位: 記事 H と同じ規則で、example.jp が応答すればその行、応答せず www.example.jp が応答すれば www の行を使う。ホスティング会社はその行の IP アドレスで決める
  • AS 番号: IP アドレスを CAIDA の RouteViews prefix2as(2026-10-28、経路表の起点 AS)で最長一致で引いた。経路表は公開データで、観測対象には追加のアクセスをしていない
  • 事業者名: AS 番号を CAIDA AS Organizations(2026-10-01)の組織名で引き、同じ会社の複数 AS(さくらインターネットの 3 AS など)を 1 社にまとめた。対応表は公開データだけで作った(出現した AS は 1,818 個)
  • CDN 前段: 応答ヘッダーで CDN・WAF を検出したサイトと、IP が CDN 事業者(Cloudflare、Fastly、Akamai の CDN、Imperva など)の AS にあるサイトは「CDN 前段」として別枠にし、ホスティング会社別の分母から外した。CDN の裏にあるオリジンは推定していない
  • 実名の範囲: CDN 前段と IP 不明を除いた到達件数が 1,000 以上の事業者を実名にし、それ未満は「その他」にまとめた。PHP のサポート状況と CVE 露出は、PHP の版を名乗るサイトが 100 件以上ある事業者だけ示す
  • IP の登録国: 地域インターネットレジストリ(RIR)5 か所の割り振り記録(記事 H の図 16 と同じ)

同じ会社が複数のブランド(レンタルサーバー、VPS、クラウド)を同じ AS で運営していることがある。AS 単位では区別できないため、本稿の事業者名はサービス名ではなく AS を持つ会社である。反対に、他社の設備を借りてサービスを提供している事業者は、設備の持ち主の名前で数えられる。

CDN 前段 ― gTLD 日本語サイトの半数近くは Cloudflare の後ろ

応答したサイトのうち、CDN が前段にあったのは .jp で 11.0%(Cloudflare 7.2%、AWS CloudFront 2.9%、Fastly 0.6%)、gTLD 日本語サイトで 45.8%(Cloudflare 44.9%)だった(図 1)。gTLD 日本語サイトは、ホスティング会社別に数えられるのが応答サイトの 53.8% にとどまる。

図 1 CDN 前段にあるサイトの比率(ホスティング会社別の分母から外す)
図 1 CDN 前段にあるサイトの比率(ホスティング会社別の分母から外す)

CDN 前段のサイトは、ヘッダーの一部を CDN が付け替えるため、HSTS 41.1%・TLS 1.3 93.2% と、CDN を使わないサイト全体(HSTS 10.6%・TLS 1.3 73.8%)より高い。以下の事業者別の図には参考として CDN 前段の行を置くが、オリジンの事業者は分からない。

どこに置かれているか ― 上位 3 社で 6 割

CDN 前段と IP 不明を除くと 952,161 件が残り、うち .jp が 931,651 件、gTLD 日本語サイトが 20,510 件である(図 2)。Xserver 206,817 件(21.7%)、さくらインターネット 197,363 件(20.7%)、GMOインターネット 179,804 件(18.9%)、AWS 71,025 件(7.5%)が続き、到達 1,000 件以上の 38 社で 95.6% を占める。「その他」は 41,445 件(4.4%、1635 AS)。

図 2 ホスティング会社別の到達件数とシェア
図 2 ホスティング会社別の到達件数とシェア

gTLD 日本語サイトだけで見ると、CDN 前段を除いた 20,510 件のうち AWS が 19.3%、Namecheap が 7.3%、Xserver が 5.5% で、「その他」が 42.6% と分散している。

対策の実施率

到達した名前に占める実施率を事業者別に示す(図 3、表 1)。破線は CDN 前段を除く全体の値。

図 3 ホスティング会社別の HTTPS 強制・HSTS・CSP・TLS 1.3・版の非表示
図 3 ホスティング会社別の HTTPS 強制・HSTS・CSP・TLS 1.3・版の非表示

表 1 ホスティング会社別の対策率(到達した名前に占める %、CDN 前段を除く)

ホスティング会社 到達 シェア IP 数 HTTPS 強制 HSTS CSP TLS 1.3 版の非表示
全体(CDN 前段を除く) 952,161 100.0% 171,198 94.3% 10.6% 6.0% 73.8% 83.1%
Xserver 206,817 21.7% 11,802 99.4% 2.3% 1.5% 97.9% 99.1%
さくらインターネット 197,363 20.7% 23,664 98.6% 6.0% 1.4% 90.7% 87.2%
GMOインターネット 179,804 18.9% 4,602 92.3% 5.3% 3.6% 83.3% 63.5%
AWS(Amazon) 71,025 7.5% 16,190 95.4% 42.3% 8.6% 46.8% 69.8%
NTTドコモビジネス(OCN) 38,392 4.0% 27,651 98.1% 2.3% 4.5% 3.8% 75.5%
IDCフロンティア 29,903 3.1% 10,565 98.4% 5.6% 0.8% 64.4% 90.4%
GMOグローバルサイン・ホールディングス 29,280 3.1% 2,494 98.8% 11.1% 0.7% 32.1% 96.3%
NTTPC 22,805 2.4% 18,352 49.5% 2.1% 0.7% 14.4% 88.5%
Google 19,126 2.0% 1,773 99.4% 8.1% 76.3% 93.5% 93.9%
DigiRock 16,042 1.7% 414 99.6% 82.7% 1.3% 98.8% 94.5%
CPI(KDDI) 15,155 1.6% 10,418 99.2% 24.0% 1.9% 43.3% 91.0%
フューチャースピリッツ 11,213 1.2% 367 96.9% 8.6% 67.9% 43.8% 87.1%
カゴヤ・ジャパン 10,692 1.1% 3,820 98.4% 4.9% 2.1% 30.1% 91.4%
Pacific Software Publishing 9,542 1.0% 58 99.7% 0.1% 0.1% 97.8% 100.0%
大塚商会 7,734 0.8% 7,711 48.7% 4.9% 99.5% 0.1% 99.8%
キヤノンITソリューションズ 3,817 0.4% 16 17.0% 98.7% 0.1% 17.1% 99.9%
IIJ 3,601 0.4% 1,453 93.7% 19.2% 5.2% 42.5% 79.3%
KDDI 3,452 0.4% 936 92.6% 11.8% 1.3% 69.7% 75.8%
IBM Cloud 3,229 0.3% 72 98.8% 15.7% 0.0% 0.6% 99.0%
UCOM 3,154 0.3% 689 94.7% 11.6% 1.3% 28.6% 44.5%
Microsoft(Azure) 2,957 0.3% 1,332 94.9% 38.1% 9.6% 70.1% 38.1%
ASJ 2,314 0.2% 1,249 66.3% 1.2% 0.1% 0.0% 85.0%
Automattic(WordPress.com) 1,854 0.2% 154 87.0% 78.4% 1.7% 99.5% 99.9%
クララオンライン 1,745 0.2% 253 99.4% 2.2% 0.4% 85.7% 94.4%
Wix 1,676 0.2% 7 95.2% 6.0% 0.2% 97.2% 95.3%
アルテリア・ネットワークス 1,675 0.2% 385 89.6% 37.9% 1.1% 47.7% 75.2%
NTT America 1,588 0.2% 16 3.9% 1.2% 0.2% 1.8% 2.3%
Namecheap 1,565 0.2% 931 55.9% 1.2% 0.2% 44.9% 90.4%
Akamai(Linode) 1,474 0.2% 361 92.3% 16.6% 2.7% 38.6% 74.6%
オプテージ 1,450 0.2% 437 91.4% 5.4% 1.0% 46.7% 71.3%
Trellian(パーキング) 1,449 0.2% 51 98.8% 0.0% 0.0% 97.0% 100.0%
ミライコミュニケーションネットワーク 1,418 0.1% 201 96.9% 11.7% 2.5% 70.5% 71.9%
ソフトバンク 1,392 0.1% 837 93.0% 14.0% 3.8% 34.1% 57.3%
Oracle Cloud 1,316 0.1% 634 95.6% 20.3% 11.2% 76.3% 65.8%
Squarespace 1,241 0.1% 8 98.7% 83.2% 9.1% 99.1% 99.6%
Bear Cloud Solutions 1,176 0.1% 3 99.8% 0.1% 93.5% 99.4% 6.2%
Hostinger 1,167 0.1% 726 99.3% 10.0% 71.9% 98.5% 46.2%
Sedo(パーキング) 1,113 0.1% 8 99.4% 8.4% 0.0% 99.0% 1.2%
その他の事業者 41,445 4.4% 20,558 83.2% 15.3% 6.0% 54.5% 71.2%
(参考)GMO 系計 209,084 22.0% 7,096 93.2% 6.1% 3.2% 76.2% 68.1%
(参考)CDN 前段 133,633 12.3% 45,393 98.4% 41.1% 17.0% 93.2% 88.3%
  • HTTPS 強制は全体 94.3% で、多くの事業者が 9 割を超える。低いのは NTTPC 49.5%、大塚商会 48.7%、キヤノンITソリューションズ 17.0%、NTT America 3.9% など。
  • HSTSは全体 10.6%。キヤノンITソリューションズ 98.7%、Squarespace 83.2%、DigiRock 82.7%、Automattic(WordPress.com) 78.4% が高く、Xserver 2.3%、NTTドコモビジネス(OCN) 2.3%、さくらインターネット 6.0% は低い。サービス側で既定で付けるか、利用者が自分で付けるかの違いが大きいとみられる。
  • CSPは全体 6.0%。大塚商会 99.5%、Google 76.3%、フューチャースピリッツ 67.9% が高い以外は、ほぼすべての事業者で 1 桁台。
  • TLS 1.3で接続できたサイトは全体 73.8%。Xserver 97.9%、DigiRock 98.8%、さくらインターネット 90.7% は高く、NTTドコモビジネス(OCN) 3.8%、NTTPC 14.4%、ASJ 0.0% は低い。TLS の版はサーバー側のソフトウェアで決まり、共用サーバーでは利用者が変えられないことが多い。
  • 版の非表示は全体 83.1%。Xserver 99.1% に対して GMOインターネット 63.5%、UCOM 44.5%、Microsoft(Azure) 38.1%。

「IP 数」は、その事業者で応答した名前が使っていた IP アドレスの種類の数である。数千の名前が数個の IP に集まる事業者(パーキングや転送のサービス、ウェブサイト作成サービスなど)は、個々のサイトではなくサービスの設定がそのまま値に出る。

PHP の版とサポート状況

PHP の版を X-Powered-By などで名乗るサイトの比率と、そのうちサポート終了版(観測日の判定で 8.1 以前)の比率を示す(図 4、表 2)。

図 4 ホスティング会社別の PHP 版の開示とサポート状況
図 4 ホスティング会社別の PHP 版の開示とサポート状況

表 2 ホスティング会社別の PHP 版の開示とサポート状況(PHP 版の開示が 100 件以上の事業者)

ホスティング会社 到達 PHP 版を開示 開示率 うちサポート終了 うちセキュリティ修正のみ(8.2) うち 2026 重大 CVE 未修正
全体(CDN 前段を除く) 952,161 105,237 11.1% 53.5% 4.8% 49.7%
Xserver 206,817 284 0.1% 28.5% 11.3% 30.3%
さくらインターネット 197,363 17,804 9.0% 86.3% 1.9% 81.2%
GMOインターネット 179,804 64,164 35.7% 47.9% 4.9% 45.7%
AWS(Amazon) 71,025 3,028 4.3% 61.6% 16.6% 58.9%
NTTドコモビジネス(OCN) 38,392 8,072 21.0% 5.4% 0.5% 5.1%
IDCフロンティア 29,903 2,020 6.8% 83.4% 8.1% 31.5%
GMOグローバルサイン・ホールディングス 29,280 537 1.8% 62.4% 4.7% 56.4%
NTTPC 22,805 680 3.0% 49.3% 3.7% 42.9%
Google 19,126 167 0.9% 44.3% 13.2% 46.7%
DigiRock 16,042 329 2.1% 92.4% 0.9% 88.8%
CPI(KDDI) 15,155 1,337 8.8% 95.5% 0.7% 74.9%
カゴヤ・ジャパン 10,692 311 2.9% 61.4% 5.8% 55.9%
IIJ 3,601 255 7.1% 70.6% 5.1% 70.6%
KDDI 3,452 281 8.1% 46.6% 15.7% 34.9%
UCOM 3,154 298 9.4% 63.8% 17.1% 51.0%
Microsoft(Azure) 2,957 203 6.9% 26.6% 12.8% 27.6%
ASJ 2,314 253 10.9% 99.2% 0.4% 98.0%
アルテリア・ネットワークス 1,675 111 6.6% 75.7% 13.5% 72.1%
Akamai(Linode) 1,474 127 8.6% 66.1% 10.2% 57.5%
ミライコミュニケーションネットワーク 1,418 325 22.9% 37.5% 4.3% 37.2%
ソフトバンク 1,392 214 15.4% 58.9% 21.0% 48.6%
Oracle Cloud 1,316 154 11.7% 42.9% 3.9% 42.9%
Hostinger 1,167 600 51.4% 15.5% 26.8% 42.8%
その他の事業者 41,445 3,402 8.2% 61.1% 9.2% 57.5%
(参考)GMO 系計 209,084 64,701 30.9% 48.0% 4.9% 45.7%
  • PHP の版を名乗るサイト 105,237 件のうち、GMOインターネットに載るサイトが 64,164 件を占める(開示率 35.7%)。開示率の差には、X-Powered-By に版が出るかどうかというサーバー構成の違いが表れているとみられる。Xserver は開示率 0.1% で、版を名乗るサイトがほとんどない。
  • サポート終了版の比率は、NTTドコモビジネス(OCN) 5.4% から ASJ 99.2%、CPI(KDDI) 95.5%、DigiRock 92.4%、さくらインターネット 86.3% まで分かれた。共用サーバーでは利用者が管理画面で PHP の版を選ぶことが多く、古い版を選んだまま残っているサイトが多いと、事業者として新しい版を提供していても比率は高くなる。
  • 2026 年の PHP 重大脆弱性(CVE-2026-109618 / 109619)の影響範囲に入る版を名乗るサイトは、版を名乗るサイトの 49.7%。

CVE 露出(上限値)

Server ヘッダー・X-Powered-By・CMS の版表示から、PHP・Apache・nginx・WordPress などの公開 CVE(NVD、2026-10-29 取得)の影響範囲に入る版を名乗るサイトの比率を示す(図 5、表 3)。照合規則は記事 H と同じで、ディストリビューションのバックポート修正を反映できないため上限値である。攻撃の成否は検証していない。

図 5 ホスティング会社別の CVE 露出(上限値)
図 5 ホスティング会社別の CVE 露出(上限値)

表 3 ホスティング会社別の CVE 露出(上限値、到達した名前に占める %。PHP 版の開示が 100 件以上の事業者)

ホスティング会社 既知 CVE の範囲内 うち RCE 系(Windows 限定を除く) うち CRITICAL
全体(CDN 前段を除く) 8.7% 1.7% 7.8%
Xserver 0.5% 0.3% 0.3%
さくらインターネット 11.4% 2.3% 10.7%
GMOインターネット 18.0% 3.2% 17.8%
AWS(Amazon) 11.2% 1.0% 7.3%
NTTドコモビジネス(OCN) 2.9% 0.6% 2.6%
IDCフロンティア 7.4% 5.0% 7.1%
GMOグローバルサイン・ホールディングス 2.4% 0.9% 2.3%
NTTPC 9.5% 1.1% 5.5%
Google 2.5% 0.2% 1.4%
DigiRock 2.1% 0.2% 2.0%
CPI(KDDI) 8.6% 6.5% 8.6%
カゴヤ・ジャパン 6.0% 1.3% 5.1%
IIJ 10.2% 1.6% 9.3%
KDDI 14.4% 2.1% 12.4%
UCOM 47.0% 3.7% 16.0%
Microsoft(Azure) 7.5% 0.6% 5.5%
ASJ 15.0% 0.3% 15.0%
アルテリア・ネットワークス 20.5% 3.8% 18.6%
Akamai(Linode) 11.5% 1.5% 10.2%
ミライコミュニケーションネットワーク 9.5% 2.0% 9.5%
ソフトバンク 24.7% 5.7% 23.1%
Oracle Cloud 10.8% 0.9% 8.4%
Hostinger 24.0% 0.3% 22.7%
その他の事業者 14.1% 2.8% 11.4%
(参考)GMO 系計 15.8% 2.8% 15.6%

全体は 8.7%。UCOM 47.0%、ソフトバンク 24.7%、Hostinger 24.0%、アルテリア・ネットワークス 20.5%、GMOインターネット 18.0% が全体より高く、Xserver 0.5%、DigiRock 2.1%、GMOグローバルサイン・ホールディングス 2.4% は低い。版を名乗らないサイトは照合できないので、版の非表示率が高い事業者ほど値は低く出る。この値は「古い版を名乗っている」ことを示し、そのまま攻撃が成立することを意味しない。

IP アドレスの登録国

CDN 前段を除く全体で、IP アドレスの登録国が日本だったのは 85.4%(.jp のみでは 86.9%)。国内の事業者はほぼ 100% が日本登録で、AWS(米国登録 98.5%)、Google、Microsoft(Azure)、Oracle Cloud などは米国などの登録だった(図 6)。

図 6 ホスティング会社別の IP アドレスの登録国
図 6 ホスティング会社別の IP アドレスの登録国

登録国は RIR の割り振り記録で、サーバーの設置国とは一致しないことがある。海外のクラウド事業者は、日本のデータセンター(東京・大阪リージョン)で使う IP アドレスも本社の国で登録していることが多いので、「米国登録」は「米国に置かれている」を意味しない。

NS 事業者とホスティング会社の対応

記事 H の NS 事業者(上位 10 社)ごとに、ウェブがどのホスティング会社の IP で応答したかを示す(図 7、.jp のみ)。

図 7 NS 事業者 × ホスティング会社(.jp、行ごとの %)
図 7 NS 事業者 × ホスティング会社(.jp、行ごとの %)
  • NS が Xserver の名前は 92.3%、さくらインターネットの名前は 93.3%、CPI(KDDI)の名前は 93.4% が同じ事業者の IP でウェブも応答した。NS とウェブが同じ事業者にまとまっている。
  • NS が GMOペパボの名前は 78.1% が GMOインターネットの AS の IP で応答した。AS 単位では、AS を持つ会社と、その設備でサービスを提供する会社を区別できない(§2)。
  • NS が GMO(VALUE-DOMAIN)の名前は、DigiRock 40.9%、GMOインターネット 29.2%、さくらインターネット 10.6% に分かれた。NS が GMO(DNSv)の名前も、さくらインターネット 22.9%、AWS 12.3%、CDN 前段 14.5% などに分散する。DNS だけを預けてウェブは別の場所に置く使い方である。
  • NS が AWS Route 53 の名前は AWS 37.4%、CDN 前段 33.1%、IDCフロンティア 10.9%。NS が Cloudflare の名前は 85.6% が CDN 前段だった。
  • NS が customer.ne.jp の名前は NTTドコモビジネス(OCN) 79.3%、NTTPC 13.5%。

記事 H で「NS 事業者 ≠ ホスティング事業者」と書いたことの具体的な大きさで、共用サーバー系では NS 事業者別とホスティング会社別の値が近く、DNS 専業や CDN 系では大きく違う。

解釈上の注意 ― これは事業者の評価ではない

  • 設定を決めるのは誰か: 共用ホスティングでは、PHP の版を事業者が既定値として決める場合と、利用者が管理画面で選ぶ場合がある。HSTS・CSP は多くの場合、利用者が .htaccess やアプリケーションで付ける。VPS・クラウドでは OS からアプリケーションまで利用者が管理する。どの値も「その事業者に載っているサイトの状態」で、事業者の対策の良し悪しを直接示すものではない。
  • 事業者の構成の違い: 共用サーバー中心の事業者、VPS・クラウド中心の事業者、ウェブサイト作成サービス、パーキング・転送サービスが同じ表に並んでいる。サービス形態が違う事業者の値を単純に順位付けすることはできない。
  • AS は会社単位: 同じ会社の複数ブランドは区別できず、設備を借りて提供しているサービスは設備の持ち主で数えられる。
  • CDN の後ろは分からない: CDN 前段のサイトは分母から外したので、CDN 利用の多い事業者の値は、CDN を使わないサイトだけの値になっている。

利益相反の開示: 筆者はスカイクリア株式会社を通じてドメイン事業(JPRS 指定事業者)を営み、かつて GMO グループ子会社でナンバー2を務めた。本稿の対象には GMO 系事業者(GMOインターネット、GMOグローバルサイン・ホールディングスなど)が含まれる。数値は全事業者に同じ方法・同じ基準で算出し、事業者名は公開データ(経路表・AS 組織名)に基づく。

限界と注意

  • 母集団と観測の限界は記事 H と同じ(台帳の網羅率は JPRS 公表数の 63.0%、観測元からの到達性、403 も到達に含める、版表示に基づく上限値)。
  • ホスティング会社は経路表の起点 AS で決めており、IP アドレスを借りて使う形態や、経路表の更新時期(2026-10-28)と観測日(2026-10-29)のずれは反映できない。経路表に無かった IP と、IP を記録できなかった名前は「IP 不明」(0.4%)として除外した。
  • IP アドレスは観測時の 1 回の名前解決の結果で、複数の IP を持つ名前は 1 つだけ数えている。
  • CDN 前段の判定は応答ヘッダーと AS に基づく。ヘッダーを出さない CDN や、自社網で配信する事業者は検出できない。
  • 事業者に事前の連絡はしていない。値は観測事実の記述である。
  • 個別のサイト名・ドメイン名は本稿では出さない。
サイトスカウターで調べる

この調査と同じ非侵襲の方法で、あなたのサーバーが外に向けて名乗っている TLS・HSTS・ヘッダー・バージョンを、URL を入れるだけで確認できます(登録不要)。

サーバー情報調査を使う

よくある質問

事業者の順位表ではないのか。

順位付けを目的としていない。共用サーバー、VPS・クラウド、ウェブサイト作成サービスなど形態の違う事業者が並んでおり、PHP の版やヘッダーは多くの場合利用者が決める。値は「その事業者の IP で応答したサイトの状態」である。

ホスティング会社はどう決めたのか。

ウェブが応答した IP アドレスを、公開の経路表(CAIDA RouteViews)で AS 番号に引き、AS の組織名(CAIDA AS Organizations)を事業者名にまとめた。サービス名ではなく AS を持つ会社の名前である。

CDN を使っているサイトはどう扱ったか。

Cloudflare などの CDN が前段にあると、IP は CDN のものになり、実際のサーバー(オリジン)は分からない。オリジンの推定は行わず、「CDN 前段」として別枠にし、事業者別の分母から外した。

記事 H の NS 事業者別の値と何が違うのか。

NS 事業者は DNS の預け先、ホスティング会社はウェブが応答した IP の持ち主で、別の事業者であることが多い。両者の対応は §9 に示した。

自分のサイトを同じ方法で確認できるか。

できる。サイトスカウターのサーバー情報調査に URL を入れると、本調査と同じ非侵襲の方法で TLS・HSTS・ヘッダー・版露出を確認できる。

観測の対象から外してほしい。

サイトスカウターの問い合わせフォームから連絡してほしい。以後の観測から除外する。

出典・参考資料

最終確認日:2026-10-30。制度・仕様は変更されることがあるため、実施前に各一次情報をご確認ください。

筆者・連絡先

中澤祐樹(個人ブログ nkzw.jp)

連絡先:公式サイト / YouTube / Instagram / LinkedIn / X / Telegram

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言ではありません。被害に遭われた場合や判断に迷う場合は、消費者ホットライン(188)や警察相談専用電話(#9110)などの公的窓口にご相談ください。